最近骨子が完成し、施行されるとも言われている児童ポルノ法(青少年有害社会環境対策基本法案)の改正案。元の法律では「実写系のものは違法だが、絵などの創作に関しては例外とする」という形で決まっていた。しかし今回の改正では、「絵、ゲームなどの創作物もその対象」となっている。今後、「アニメの18歳未満のキャラクターの登場を原則禁止」ともなろうとしているらしい。
元の法律では、「実写系」、つまり、実際に児童に対して何らかの行動を起こす、またはさせているものが対象である。実際に行っているので、虐待という形ででも取り締まることができる。これをわかりやすくしたともいえる。しかし今回のものは、憲法で守られている「表現の自由」「思想の自由」を法律で規制しようとしているのである。ちなみに、憲法には
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
(2項は省略)第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
となっていた。これを法律で規制しようとするのである。憲法は「日本の最高法規」(憲法98条)ではないのかと問いたい。
また、ちょっと視点を変えて「経済」の面から考えてみることにしよう。改正法案では、「18歳未満に見えるもの」も規制の対象になっているようだ。これは「見えればすべて規制可能」とも考えられる。かなりの数の本、雑誌、ゲームなどがこれの対象になって規制される。これはその業界にとって大きな打撃となる。
さらに、「アニメの18歳未満のキャラクターの登場を原則禁止」が施行されたとしよう。この場合、95%以上のアニメがその対象となりうる。テレビからほとんどのアニメが消えるのである。これはすべての業界に致命的な打撃を与えることにもなりかねない。その理由は、まずアニメ製作会社はアニメを作ることができない。テレビ会社はそれを放映できない。それにスポンサーとして支援を行い、広告を表示させてもらっている各業界は、まず広告、宣伝が大幅に削減されるために利益が減少してしまう。テレビ会社はスポンサー費用が得られなくなってしまう。日本の視聴率をかなり占有しているアニメがなくなってしまうと、たとえテレビ広告、宣伝を行ってもそもそも見る人が減少してしまうため、それによっても利益が減少してしまう。これらすべてが重なって、日本の経済をさらに悪化させてしまうのである。
これほどの問題を抱えている今回の改正児童ポルノ法、施行まえにこういった細部のこと、今後のことについて考え直すべきではないのかと思う。
参考:
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
※追記
この件に限り、注意事項を一部変更します。
実際、制定途上の法律のため、日時の経過とともに変更が行われる可能性があります。また、憲法についても、あまり関連のない物を引っ張り出したかも知れません。
ですので、「これは明らかに間違っているのじゃないか?」という意見については受け付けます。
私自身、記憶と多少の調査程度しかしていないので、拡大解釈した可能性もありますが…