イギリスで最初に話題になり、日本でも発生してしまった狂牛病、正式名称は「牛海綿状脳症(BSE)」である。
このBSEが発生したときの日本の農水省の対応、ここにそもそもの原因がある。
イギリスで狂牛病が発生したとき、国連は「肉骨粉の使用を禁じる」と全世界に向けて警告したはずである。各国は即時対応を取っていたが、日本ではこの対応が非常に遅かった。「自国では起こらない」と勝手に農水省が思っていたからである。法律化しなかったのもここにあると思われる。
それよりももっともひどい、だれもが「あきれた〜」と思うことが、この前テレビにて放映されていた。まずBSEが発生した牛を飼育している農家は、「配合飼料のみを使用していたのでまず起こらないと思っていたのに・・・」とコメントしていた。ならばということでそのテレビでは各地からその配合飼料を入手、調査してその結果を発表した。その結果は、「2社のみOK、その他の会社はすべて肉骨粉が混じっていた」という驚くべきものとなっていた。発送段階でチェックはされていないのかと農水省にたずねると、「きちんとチェックはしている」とのコメント。しかしその実態は驚くべきものであった。なんと「目視による確認のみ」で肉骨粉が混じっているかを判断しているというのである。普通の人なら骨を見ただけでこれが魚の骨か牛の骨か判断できない。これが当然であろう。
しかし、ここで私がもっとも疑問に思ったのがそのときの対応にあたっていた審議官である。なぜかというと、まずほかの人の意見をまったく受け入れない。自分たちのが正しいと完全に思っており、反論を受け付けないのである。テレビに出演した人もあきれていた。
普通、「完全な結果」というのは、「誰しもが納得のいくもの」でなければならない。今回、テレビでは遺伝子レベルでの調査を行い、ほぼ完全な検証を行っていた。しかし農水省は「目視のみで判断ができる。プロがやれば」と反論。農水省に関連した調査機関は「中学校の理科室よりはましな検査設備」で行っている。遺伝子レベルの検査は非常に高度な検査設備が必要なので、これは明らかにおかしい。このことを言っても、農水省の審議官はまるで機械のように「プロがやれば判断ができるのです」としか言わない。完全な結果をもってしても、である。
私はここで、「おまえは本当に学があるのか」と問いたくなった。素人の目が見ても「これは危険だ」と判断できるようなものが必要だと思わないのか、または言われて気が付かないのか、と。
これが農水省全体で行われていたのであれば、いや、この審議官だけでも、「いまの(農水省の)状況を完全に変えない限り、狂牛病は100%無くならない。」と言える。
で、これを書いたのが2002年1月20日なのだが、その後の1月25日、今度はBSE発生後に行われた国産牛買い取り制度を悪用した詐欺事件が雪印食品によって行われた。こうなると農林水産省よりもひどいことである。悪い意味で上には上がいるものだ。 輸入牛肉を国産牛に偽装しただけでなく、そのためのラベル作成、さらには28日に水増しまで発覚するという、この上ない詐欺だ。なんかこの事件が起こる前に書いた上の文章がかわいく見えてきそう。
※追記
この件に限り、注意事項を一部変更します。
農林水産省へ>
ここに文句を言う前に自分たちの省の改善を行った方がいいと思うよ。
まあ、今回の雪印食品の詐欺に関してはさすがに判断がつき難いのでなんとも言わないが…